経営管理責任者になれるか? 個人事業主の父親を支えた息子 

建設業許可をとるには、「経営管理責任者」として条件を満たす人が常勤でいなければなりません。
許可を持っている会社であっても、この人が亡くなったり、長期入院して働けない間は、別の人を経営管理責任者にしなければなりません。
それほど経営管理責任者はとても大切なのです。

経営管理責任者にはどういう人がなれるの?

国土交通省のホームページから(面倒だったら読み飛ばしてください)
◆経営業務の管理責任者としての経験がある者を有していること(法第7条第1号)

 建設業の経営は他の産業の経営とは著しく異なった特徴を有しているため、適正な建設業の経営を期待するためには、建設業の経営業務について一定期間の経験を有した者が最低でも1人は必要であると判断され、この要件が定められたものです。
 なお、具体的な要件は、以下のとおりです。

 許可を受けようとする者が法人である場合には常勤の役員のうちの1人が、個人である場合には本人または支配人のうちの1人が次のいずれかに該当することが必要であり、これらの者を経営業務の管理責任者といいます。

(イ)許可を受けようとする建設業に関し、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
(ロ)許可を受けようとする建設業以外の建設業に関し、7年以上経営業務の管理責任者としての経験を有していること。
(ハ)許可を受けようとする建設業に関し、経営業務管理責任者に準ずる地位にあって次のいずれかの経験を有していること。
 (a)経営業務管の執行に関して、取締役会の決議を経て取締役会又は代表取締役から具体的な権限委譲を受け、かつ、その権限に基づき、執行役員等として5年以上建設業の経営業務を総合的に管理した経験
 (b)7年以上経営業務を補佐した経験

(ここから大事)
簡単に言うと、個人の会社の場合は「代表者か支配人であった期間が5年または7年以上ある」人が、経営管理責任者になれるのです。
そうでなければ、上の(ハ)の(a)のように、7年以上経営業務を補佐した経験が必要です。

さて、今回相談を受けた息子さんに話を戻します。

息子さんは、お父さんの会社で20年間、常勤で働いていました。
給料は年間300万円もらっています。

経営管理責任者になれるでしょうか?

ココがツボ!
個人の会社で何年働いていようと、従業員として働いていたのでは経営管理責任者にはなれません。
経営を補佐した経験とは、経営業務に携わっているかどうかなのです。

経営業務とは、簡単に言えば「資金調達、人の配置や採用、下請け業者との契約締結など、責任ある立場にあるか」、ということです
これらについて、お父さんから権限を委譲されていたかどうかです。

それでは、お父さんの確定申告書を探してください。
個人事業主は申告書Bで申告しますが、その(第二表)に
「事業専従者に関する事項」という欄があります。そこに、息子さんの名前が入っているか、具体的にどんな経営業務に就いていたのかが判断のポイントです。

息子を専従者として7年間申告していれば経営管理責任者になることはできます。
ただし、7年は待てないという方は、お父さんの会社の「支配人」になることでも条件を満たします。
その場合は法務局に支配人登記をしなければなりません。
登記は司法書士さんに相談しましょう。

今回は、お父さんに代わって経営のことに携わっていた息子さんでしたが、専従者でもく、支配人登記もしてなかったので、許可申請は断念し準備をして再度チャレンジすることになりそうです。
この20年間、経理をお願いしていた団体がちゃんとアドバイスしてさえくれていれば・・・と悔やまれます。

 このような事にならないよう、建設業の許可を取りたい、将来は取らなければならなくなるだろう、とお考えの社長には、「どうやったら許可が取れるか」「どんな準備が必要か」をご教示します。
お気軽にお問合せください。

健康に自信があるお父さんでも、60歳を迎えたら、早めに息子さんへの会社の事業承継の準備されることをお勧めします。