「その他工事」はメチャクチャ大事

建設業許可をとると、毎年やらないといけない決算変更届。(注*1)
その際に、工事経歴書を作成します。
皆さん「その他工事」は「その他工事」として処理していますか?

当事務所では、お客様にお手間をかけますが、その他工事として処理しています。
多くの工事請求書から、その他工事を抜きだして、工事経歴書を作成するのは正直いって面倒ですが、「その他工事として処理していないと、後々困ることがあるからです。

実査にあった事例です。

昭和55年から操業し、平成3年に初めて建設業許可の建築一式工事をとった会社からのご相談です。
その会社は、ある大手の建設会社の下請けとして頑張っていました。
建築一式工事の許可をもっていれば、どんな種類の工事もできると信じて長年やってきたところ、元請から「これからは、とび・土工・コンクリート工事と解体工事の許可をもっていないと、仕事をだせないよ」と突然、言われたそうです。

慌てた社長さんが、相談に来てくださいました。

これまでの決算変更届を見ると、その他工事が全くなく、全ての工事を建築一式工事として処理していました。
直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式3号)をみても、その他工事のところは、どの年度も「ゼロ」がずらーーっと並んでいます。

これでは、10年間の実務経験を証明しようにも、建築一式工事の経験しか証明できません。
どび・土工・コンクリートや解体の仕事をしていても、それを証明するものがないからです。
だって、お役所に、建築一式工事以外に、この26年間、他の種類の工事は請負っていませんでした、と自ら報告してしまっているのですから。
それを覆すとなると、嘘の書類を出していたことになりますよね。

このように、「件数が少ない」「面倒だ」「許可をとっている業種だけを工事経歴書作ればいい」という誤った認識で、「ええい!建築一式の工事に丸め込んでしまえ!」とすると、大きな痛手を負う事になります。

福岡県の考え方です
【-許可を持つ業者での実務経験については、過去の申請書や変更届の「直前3年の各事業年度における工事施行金額(様式3号)」に「その他の建設業工事の施工金額」欄で当該業種施工高が計上されていない場合、契約書があっても実務経験として認めることができません。】

皆さんは大丈夫ですか?
ご自分の会社の決算変更届を、今すぐ確認してみてください。

さて、この事例、どうなったか気になる方、どうぞ当事務所までご連絡ください。

(注*1)許可業者は、決算したら、その一年間でどんな工事をしたのか、財務状況はどうなのかを届出する義務があり、そのことを、決算変更届といいます